中上 郁 “PRINCIPAL” KAORU NAKAGAMI
理想論を振りかざしても、投資先の助けにはなりません。
さまざまな制約がある中で、何を優先して、何を後回しにすべきか。
それを言えるベンチャーキャピタリストでありたい。
理想論を振りかざしても、
投資先の助けにはなりません。
さまざまな制約がある中で、
何を優先して、何を後回しにすべきか。
それを言えるベンチャー
キャピタリストでありたい。
新卒で日系シンクタンクに入社後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社にて国内外のM&A案件に多数関与。大手事業会社をクライアントとして、M&A戦略策定、エグゼキューション、PMIの各フェーズでサービスを提供する。2019年よりプライベートエクイティファンドを運営する日本産業パートナーズ株式会社にて、新規の投資検討や既存投資先のバリューアップに関与。その後、スタートアップにて事業企画、外部提携、資金調達等の業務を担う。2023年4月より現職。神戸大学大学院人文学研究科卒。
スタートアップの
スピード感と熱量に
魅せられて
ITVに転職したそもそものきっかけは、スタートアップ企業のスピード感や熱量に魅力を感じたからでした。私はもともとキャリアの大半を、コンサルティングファームやPEファンドで、主に大企業を相手に仕事をしていました。大企業が行う大規模なM&AやPEファンドでの企業買収等の案件は経済的なインパクトや社会への影響も大きく、やりがいを感じるとともに、私自身としても学ぶ部分が大変多かったと感じています。
ただ、スタートアップ企業が展開するビジネスには、将来のシナリオが比較的見通しやすい大企業のビジネスでは味わえない刺激があります。これまでのキャリアの中ではさまざまなスタートアップ企業や起業家との出会いがありましたが、大きな組織ではありえない意思決定のスピードや、既存の業界構造にとらわれない革新的なビジネスモデル、まさに人生と事業を一体化させてすべてを懸けて取り組む起業家の熱量……。それに当てられて自分もスタートアップの領域に飛び込んでみたいと考えたのです。
数あるVCの中でもITVを選んだのは、過去の高い投資リターン実績を持つことに加え、やはりオンリーワンのハイブリットVCであるという点が大きいです。ITVは親会社の事業シナジーを追求するCVCではなく、あくまでも投資リターンの最大化を目指すVCです。一方、スタートアップの経営戦略上、必要ならさまざまな業界に広がる伊藤忠グループのリソースを活用することが可能です。このバランスのよさは他のVCにない魅力だと思います。
スタートアップ経営に
机上の空論は通用しない
これまで在籍したコンサルティングファームやPEファンドでは、ビジネスやファイナンス、リーガル等の、企業経営に関わる様々な領域の実務経験を豊富に積ませていただきました。投資先のスタートアップ企業についても、必要に応じて、これらの経験や知見をもとに全力でサポートさせていただきたいと考えています。
一方で、誤解を恐れずに言うと、スタートアップ企業のビジネスを一番深く理解しているのはあくまで起業家であり、VC側のサポートにも限界はあります。VCとしては起業家への経営に関する種々のサポートを通じて、起業家が事業に深く集中し、自身の時間やマインドをコミットすることが出来る状態を実現することが、ビジネスをスケールさせるためには非常に重要だと考えています。
なお、経営に必要な知見を提供する際に、スタートアップの現場に即した形で話ができることは私の強みの一つだと思います。実は以前、たまたまご縁のあったスタートアップ企業にて新規事業の拡大や資金調達の計画等のお話をうかがう機会があり、一定期間、その企業に所属して実務を担っていた時期があります。経験があるのでよくわかるのですが、スタートアップ企業はとにかくリソースが足りません。やりたいこと、やるべきことはたくさんあっても、資金や人手が足りなかったり、また急に外部との契約が解除されたり、従業員が突然辞めるなどして、理屈通りにいかないケースが多くあります。
そこで経営に関するスマートな理想論を振りかざしても、投資先には何の助けにもなりません。さまざまな制約がある中で、何を優先して、何を後回しにすべきか。リソースが限られるスタートアップ企業としては、何らかの領域に一点突破で突き抜けることが必要です。現状の経営環境を踏まえた上で、最も効果的かつ現実的なアクションを打つためのサポートを全力で提供したいですね。
産業や社会を変革する
可能性のある事業に
投資をしたい
スタートアップ企業への投資に関して、特定の業界や分野へのこだわりはありませんが、日本の産業や社会にインパクトを与え得る事業かどうかはこだわりたいですね。一時的な流行に乗ったビジネスへ投資を行い、2,3年後にExitとしておしまいというスタイルではなく、既存の商慣習や産業構造にとらわれず、新しい価値を創造し続けられるような事業や起業家への投資を目指したいと考えています。
さまざまな投資家の方々の資金を預かって運用する上で、VCとして投資リターンの最大化を目指すのは当然です。ただ、それと同時に、我々の投資を通じて日本の産業や社会へポジティブな影響を及ぼすことまで見据えて、投資活動に邁進したいと考えています。